このブログを読んでいらっしゃる皆さんのほとんどはNHKのラジオ講座を聞いたことがあると思います。私もラジオ講座を日課にし始めてから約20年、ここ10年くらいで聞き方のスタイルが決まってきました。
今回は「テキストを買わずに」「多言語を」「毎日聞き続けられる」方法をお伝えしたいと思います。
即効性はないが、振り返れば耳が鍛えられていることに気づく
どういうこと?
見出しの通り、この学習方法は即効性はありません。だけど毎日続けられて、スキマ時間を利用していつの間にか多言語の耳を鍛えてしまいましょう、という方法です。
私のおすすめするラジオ活用法は、朝の身支度の時間に「NHK第2放送を流す」という、非常にシンプルなものです。
NHK第2は、朝6時台~英語、7時台~ヨーロッパ言語、8時台~東アジア言語… と、一つの番組につき15分ずつ放送されています。
それを朝食をとりながら、メイクをしながら、身支度を整えながら「時計代わり」に聞き流すのです。
特にメイクをしている時などは、チラチラと時計を見ずに済むので大変便利です。
私の場合はスペイン語講座(7:15~)が始まると、「急がなきゃ!」とメイクを済ませ、フランス語講座(7:30~)が始まると「もう出なきゃ」となり、イタリア語講座(7:45~)が始まってしまうと「やばい!」といった風に、時間を知るツールとして活用しています。
一つ一つの講座をしっかりじっくり聴くことはありませんが、どの番組でも講師に続いて発音練習をするタイミングで声に出して参加しています。
効果のほどを知るのは、その言語に本腰を入れたとき
基本的にはテキストを買わずに、毎朝時計代わりに聞き流すだけです。
「聞き流す」と言っても、一番大事な時計機能、つまり「今何時頃(何語の番組)だろう?」なので、実はある程度の意識はラジオに向けられています。すると、「今何の話題をしているのだろう?」「今何て言ったのだろう?」「今もしかしてこういうフレーズを言ったのかな?」「このフレーズって○○っていう意味かな?」
と、ほんの少しでも考える瞬間があるものです。
また、1週間のうちに何度も同じスキットを聞くことになるので、特段努力をしなくても基本フレーズはなんとなく印象に残っていきます。
この「なんとなく」の積み重ねが結構大事で、その日その日の番組の内容はわからなくても大丈夫ですし、数日後にはフレーズを忘れても大丈夫。ただ、この「なんとなく」の瞬間を毎朝作り、長期間続けていくのです。
歯磨きをするようにラジオを聴く
毎日歯磨きをしていたら、人はそれなりにブラッシングが上手になるものです。
毎日歯磨きをして、すべての歯が輝くかどうかはわかりませんが、少なくとも歯や歯茎の状態が悪くならないようにメンテナンスできます。
このラジオ活用法も同じで、毎日聴いていたら飛躍的に語学力がアップするわけではありませんが、言語を忘れることを防ぐのと、「毎日歯を磨かない人=毎日ラジオを聴かない人」よりは耳の状態を良く保ち続けることができます。
実際の会話にはテキストなど用意されていない
リスニングの鍛え方にはいろいろあって、テキストを見ながら聞く/テキストを見ずに聞く方法でそれぞれ効果が異なります。
テキストを見ながら聞くことで、単語の「綴り」と実際の「発音」や、単語が連続してセンテンスになったときの「音変化」(仏語のリエゾンなど)を頭の中で紐づけるのに非常に役立ちます。
一方、テキストなしで聞くことで鍛えられるのは、実際に人と会話する時に必要な「相手の発言を聴く集中力、応答する瞬発力、相手の発言がすべてわからなくても文脈から瞬時に意味を推測する能力」などです。
どちらの方法も語学力を伸ばすにはとても大事ですが、このラジオ活用法で鍛えられるのは後者の方です。現実には、他者との会話には事前にテキストなど用意されているはずもなく、ほんの数十秒~数分の会話の間にかなりの集中力が必要とされるものです。
ラジオのスキットをテキストなし、予習なしで聞くことで、会話の意味を推測し、自分が返答すべきセンテンスを頭の中で作る訓練になります。
語学をやっていると、思いもよらないタイミングでネイティブと会話する機会に遭遇したりしますよね。そんな時にも焦らず、パニックにならずに「集中して聞き、文脈を読み取り、自分が言いたいことを瞬時に準備し、発言する」瞬発力を発揮できる筋肉を少しずつでも鍛えていきましょう。
習慣になれば、10年続く
毎朝時計代わりにNHKラジオ講座を聞き、お陰様で現在勉強しているフランス語のリスニングと発音力は、本腰を入れて勉強を開始した時点からすでに高いレベルでした。
これまでなんとなく聞いて、なんとなく発音練習をし続けてきたフランス語でしたが、思い返せば「なんとなくリスニング」歴は10年にもなっていました。
その積み重ねは現在、ネイティブ講師との会話やTCF、フランス語検定などのリスニングテストでも役に立っています。
これまでテキストを見ずに聞いていたフランス語の音と、今、スクールや自宅で学習しているフランス語が、まるでパズルのピースを合わせるように、答え合わせをするように、頭の中で繋がっていく感覚です。
また、既にある程度のレベルに達しているイタリア語であっても、ラジオ初級編を聞き続けることで「忘れない」よう、自分をメンテナンスしていくことができるのです。
すぐに効果を出したい? ←時間が経つのはあっという間
往々にして人はすぐに結果を求めたがりますが、ほんの数週間、数か月でひとつの言語を話せるようにはなりません。
「毎日続けるなんて無理」「すぐ効果が出ないならやりたくない」と思っているとしたら、私が言いたいのは、
「大人になったら1年なんてあっという間」です。
毎年師走になると、「あー、今年も何もしなかったなぁ。来年こそは」なんて思っていませんか?
「1年もかかるの? 5年もかかるの? 10年もかかるの!?」と思われるかもしれませんが、大人の皆さん、思い返してみてください。10年前の出来事って、つい最近の気がしませんか?
まとめ
いかがだったでしょうか。
この「ラジオを時計代わりに聞く」方法、今まで一度もつらい、苦しいと思ったことはありません。むしろ、ラジオを聞かないと時刻がわからないので、積極的に聞く習慣ができるのです。
今回ご紹介した方法は、机に向かうのが苦手な人、毎日まとまった時間が取れない人、だけど多言語には興味がある人にはお勧めのラジオ活用法でした。
毎日の「なんとなくリスニング」で、リスニング力(りょく)の素地を作っていきましょう!
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